はじめに
初めまして。 「DApps開発入門」という本や色々記事を書いているかるでねです。
以下でも情報発信しているので、興味ある記事があればぜひ読んでみてください!
今回は「Circle StableFX」についてまとめていきます。
この記事は以下の方法でベースを作成しています。
従来のFX市場が抱える課題
外国為替(FX)市場は1日あたり9兆ドルを超える取引量を持つ世界最大の金融市場です。 しかし、その規模にもかかわらず、インフラの多くは数十年前の仕組みに依存しています。
graph LR
subgraph Traditional["従来のFX市場"]
T1[機関投資家] --> T2[取引所A]
T1 --> T3[取引所B]
T1 --> T4[取引所C]
T2 -.->|T+1決済| T5[清算機関]
T3 -.->|T+1決済| T5
T4 -.->|T+1決済| T5
end
subgraph StableFX["StableFX"]
S1[機関投資家] --> S2[StableFX Engine]
S2 --> S3[LP Pool]
S2 -->|即時決済| S4[Arc L1]
end
style Traditional fill:#ffcccc
style StableFX fill:#ccffcc従来のFX市場とStableFXの比較
具体的には、以下のような非効率性が存在します。
| 課題 | 内容 | 影響 |
|---|---|---|
| 分散した取引所 | 複数の取引所に資金を分散して預ける必要がある | 資本効率の低下 |
| 事前資金供給 | 取引前に各取引所へ資金を預託する必要がある | 流動性の固定化 |
| T+1決済 | 取引から決済まで1営業日かかる | リアルタイム決済不可 |
| 二者間契約 | 各カウンターパーティと個別契約が必要 | オンボーディングコストの増大 |
これらの課題により、機関投資家は本来必要な額以上の資金を複数の場所に分散させ、決済リスクを抱えながら取引を行っています。
StableFXとは
StableFXは、Circleが開発した機関投資家向けのオンチェーン外国為替取引エンジンです。 CircleのLayer 1ブロックチェーン「Arc」上に構築され、ステーブルコイン間の交換をリアルタイムかつ安全に実行します。
graph LR
subgraph Participants["参加者"]
A[機関投資家]
B[流動性プロバイダー]
end
subgraph Engine["StableFX Engine"]
C[RFQシステム]
D[スマートコントラクト]
E[エスクロー]
end
subgraph Blockchain["Arc L1"]
F[アトミック決済]
G[オンチェーン記録]
end
A --> C
B --> C
C --> D
D --> E
E --> F
F --> G
style Engine fill:#fff3e0
style Blockchain fill:#e8eaf6StableFXのシステム構成
StableFXが提供する価値は以下の4点に集約されます。
24時間365日の市場アクセス ブロックチェーン上で動作するため、休日や夜間を問わず取引が可能です。 従来のFX市場のように市場のオープン・クローズを気にする必要がありません。
リアルタイムのアトミック決済 スマートコントラクトによるエスクロー機能により、取引の両側が同時に決済されるか、どちらも決済されないかのいずれかとなります。 T+1のような決済遅延がなく、カウンターパーティリスクを大幅に削減できます。
All-to-Allモデルによる運用簡素化 プラットフォームへの1回のオンボーディングで、すべての流動性プロバイダーにアクセスできます。 個別のKYC/AML手続きや二者間契約が不要になります。
プログラマブルな決済 即時決済か遅延決済(ネッティング)かを取引戦略に応じて選択でき、資本効率を最大化できます。
取引フロー:RFQからアトミック決済まで
StableFXでの取引は、RFQ(Request-for-Quote)方式で行われます。 以下のシーケンス図で、取引の流れを詳しく見ていきましょう。
sequenceDiagram
participant Investor as 機関投資家
participant Engine as StableFX Engine
participant LP as 流動性プロバイダー
participant Contract as スマートコントラクト
participant Arc as Arc L1
rect rgb(230, 243, 255)
Note over Investor,LP: Phase 1: 見積もり取得
Investor->>Engine: RFQリクエスト(通貨ペア・数量)
Engine->>LP: 一斉見積もり要求
LP-->>Engine: 価格・手数料・有効期限
Engine-->>Investor: 見積もり一覧
end
rect rgb(255, 243, 224)
Note over Investor,Contract: Phase 2: 取引実行
Investor->>Engine: 見積もり選択
Engine->>Contract: 取引条件を記録
Contract-->>Engine: 取引確定
end
rect rgb(232, 245, 233)
Note over Investor,Arc: Phase 3: アトミック決済
Investor->>Contract: USDC をロック
LP->>Contract: EURC をロック
Contract->>Contract: エスクロー検証
Contract->>Arc: アトミック交換実行
Arc-->>Investor: EURC 受取
Arc-->>LP: USDC 受取
endRFQからアトミック決済までの流れ
Phase 1:見積もり取得
機関投資家が通貨ペアと数量を指定してRFQをリクエストすると、StableFXは接続されている複数の流動性プロバイダーに一斉に見積もりを要求します。 各プロバイダーから提示された価格には、為替レート、手数料、約定可能数量、有効期限が含まれます。
Phase 2:取引実行
投資家が最適な見積もりを選択すると、取引条件がスマートコントラクトに記録されます。 この時点で取引は確定し、オンチェーンで不可逆的に記録されます。
Phase 3:アトミック決済
両者が資金をスマートコントラクトにロックすると、自動的に交換が実行されます。 「両方成功するか、両方失敗するか」のいずれかしかないため、一方だけが資金を失うリスクがありません。
対応通貨とPartner Stablecoinsプログラム
StableFXは現在、11種類のステーブルコインをサポートしています。
| 通貨コード | 法定通貨 | 発行者 | 地域 |
|---|---|---|---|
| USDC | 米ドル | Circle | グローバル |
| EURC | ユーロ | Circle | 欧州 |
| JPYC | 日本円 | JPYC Inc | 日本 |
| AUDF | 豪ドル | Forte | オーストラリア |
| BRLA | ブラジルレアル | Avenia | ブラジル |
| KRW1 | 韓国ウォン | BDACS | 韓国 |
| MXNB | メキシコペソ | Bitso | メキシコ |
| PHPC | フィリピンペソ | Coins.PH | フィリピン |
| QCAD | カナダドル | Stablecorp | カナダ |
| ZARU | 南アフリカランド | ZAR Universal Network | 南アフリカ |
これらの通貨は「Circle Partner Stablecoins」プログラムを通じて提供されています。 このプログラムは、非USD建てのステーブルコイン発行者がArc上にデプロイし、StableFXエコシステムに参加できる枠組みです。
参加者は、技術要件・運用基準・準備金管理・リスク管理の各基準を満たす必要があります。 その代わり、Circle Payments Network(CPN)との統合、グローバルな流動性プロバイダーネットワークへのアクセス、USDCとのシームレスな相互運用性といったメリットを享受できます。
ユースケース
StableFXは機関投資家向けに設計されていますが、その応用範囲は広範です。
国際送金の効率化 従来の銀行送金では数日かかっていた国際送金が、ステーブルコイン間の即時交換により数分で完了します。 例えば、日本からブラジルへの送金は、JPYC → USDC → BRLAというルートで瞬時に実行可能です。
クロスボーダー決済 サプライチェーン決済、グローバル企業の給与支払い、輸入業者の仕入れ決済など、企業間の国際決済を効率化します。 24時間365日対応かつリアルタイム決済により、ビジネスのスピードが向上します。
機関投資家のFXトレーディング 為替ヘッジ、アービトラージ、ポートフォリオリバランスといった機関投資家の取引ニーズに対応します。 スマートコントラクトによる自動化と低いカウンターパーティリスクが、トレーディング効率を高めます。
DeFiプロトコルとの統合 APIとオンチェーンスマートコントラクトの両方を提供しているため、他のDeFiプロトコルとの統合が容易です。 自動化された為替ヘッジやマルチカレンシー貸付など、高度なユースケースを実現できます。
今後の展開
StableFXは現在、Arc testnet上で稼働しており、機関投資家はプラットフォームの機能を試すことができます。 2026年にArc mainnetでの本番ローンチが予定されています。
参加を希望する機関投資家は、デザインパートナーとしてローンチ前からフィードバックを提供するか、testnetでの試用、または事前登録が可能です。
なお、StableFXを利用するにはKYB(Know-Your-Business)とAML(Anti-Money Laundering)の要件を満たす必要があります。
Circle Technology Servicesは、ソフトウェアインフラストラクチャのみを提供し、規制対象の金融サービスやアドバイザリーサービスは提供しません。 ユーザーは、自身の法域におけるコンプライアンスとライセンス要件について責任を負います。
まとめ
Circle StableFXは、従来のFX市場が抱える非効率性をブロックチェーン技術で解決する革新的なプラットフォームです。
| 観点 | 従来のFX市場 | StableFX |
|---|---|---|
| 取引時間 | 平日の市場時間のみ | 24時間365日 |
| 決済 | T+1(1営業日後) | リアルタイム |
| カウンターパーティリスク | 高い | アトミック決済で最小化 |
| オンボーディング | 各取引所と個別契約 | 1回で全プロバイダーにアクセス |
| 資本効率 | 複数箇所に分散預託 | プログラマブル決済で最適化 |
2026年のmainnetローンチに向けて、すでに11種類のステーブルコインと複数の流動性プロバイダーが参加を表明しています。 ブロックチェーン技術と従来の金融市場を橋渡しする重要なインフラストラクチャとして、今後の発展が期待されます。
参考リンク
最後に
今回は「Circle StableFX」についてまとめてきました。 他でも色々記事を書いているのでぜひよろしければ読んでいってください!
https://cardene.notion.site/EIP-2a03fa3ea33d43baa9ed82288f98d4a9EIP-2a03fa3ea33d43baa9ed82288f98d4a9


